最近は春を感じさせる暖かさが続き、このまま桜のシーズン突入か…と思いきや、こちら京都はまだまだ三寒四温、今日はまた寒さがぶり返している中でコラムを書いています。

 

今年に入って早3ヶ月が経ち、やさしいデザインの主立った活動は、広報に関するセミナーを中心に開催しており、チラシ作りの基礎がわかるセミナーや、写真撮影の基礎講座、SNS活用セミナーなど、地域で活動されているグループや団体の皆さまと、とても有意義な交流をさせていただいております。

 

前回のコラムを担当している穂積講師が2月に登壇した、”やさしい”チラシの作り方セミナーの質疑応答のコーナーにて、参加者の方から書体・フォントにまつわるご質問をいただきました。その際、講師に続き私も自分なりの考えを少しお答えさせていただきました。

 

今回、その内容を少し掘り下げてお話しいたします。

 

このコラムをお読みいただいている方の中で、チラシやポスターを既に作られたご経験のある方もいらっしゃるかと思います。その時、タイトルや説明文のフォント選びに頭を悩まされたことはありませんか?

私もこの仕事を続けて長くなりますが、今でも時々悩むときがあります。

 

広告デザインの構成要素を仮に人間で例えるならば、書体・フォントは「声や言葉」、告知情報は「伝えたい思いや考えていること」、写真・イラストは「初対面での第一印象」、きれいなレイアウトや読みやすい行間などは「話し方や身だしなみ・エチケット」、広告の掲載場所は「どのような場でスピーチするか」、といったところでしょうか。

それらが効果的ならば、印象に残る人物として、参加者の方々の記憶に残してもらえます。

 

以上の構成内容からわかるとおり、書体・フォントの選定は、写真・イラストに並び、伝わる広告を作るうえで視覚的な効果として重要ないち役割を担っています。

 

普段、私たちの生活の身近な場面で、いろいろな書体・フォントを見ることがあります。

例えば、病院や介護施設、幼稚園、学校などは、優しさや暖かさを感じさせる丸文字がよく使われています。また、フィットネスジムやスポーツ用品店などは、元気のある健康的なイメージを喚起させる意味で、斜体がかった勢いのある中太ゴシック体を使用する傾向があります。そして、伝統工芸など職人技術を活かした老舗名店などは、筆文字の厳格なイメージを好み、頑固親父が作るラーメン作り一筋で続けてられるお店などは、骨太のゴシック書体などでたくましさを表現するなど。

 

 

あらゆる業種には「らしさ」を感じさせるための「声や言葉」があります。奇をてらって敢えて人が使わないような書体を使う必要はありません。既に万人が持つその業種の潜在イメージに従うほうが効果的です。

 

では、具体的に見て行きましょう。

「満腹」、「憂鬱」という単語を使い、書体を変えるだけで、どのような印象になるのでしょうか。

 

まずは「満腹」から。

 

囲み罫線いっぱいに膨らみのある太字の書体にします。

とてもまんぷくでもう食べられません

 

次は手描き風の線の細い書体。

いちどはまんぷくになるまで食べてみたい…

 

次に、こちらも手描き風ですが、1文字ごとのバランスが崩れている書体に変えてみると…

まんぷくになったけどお腹が痛い….

 

次に「憂鬱」です。

 

少しネガティブな印象を持つ単語ですが、まず初めは新聞で使われている明朝体です。

ゆううつな気持ちがとても強い人に感じます

 

次は紙面の右下に配置し、それぞれ上下にずらし怖い印象の書体にすると…

これはかなり心が不安定な人に感じます

 

可愛いい変体文字に変えてみると

学生さんが「今日、ゆううつなんだよね〜」と話しています

 

そして更に変えてみると、

落語の演目に見えてきます

高級中華レストランにありそうですね

 

このように同じ単語でも書体を変えることで全く違った印象になり、書体デザインが機能すると驚くような効果が期待できることがあります。

 

皆さまもチラシやポスターなどを制作するときは、ご自分が伝えたい内容を、“どのような声や言葉”で伝えたいのかを少し意識して書体選びをしてみてください。

想定以上に良い結果がえられる可能性がありますので、ぜひいちど試してみてはいかがでしょうか。