わたしは猫のイラストや写真を使ってグッズを作っていて、
年に数回、イベント出展しています。

商品を買ってくださるのは、圧倒的にリピーターの方。
わたしを以前から知っていたり、SNSでいつも応援してくださる方々です。
となると、毎回同じものを作っていてはお客さんにとってはおもしろくない。

通常業務での印刷の知識を生かして、何か印刷でできるグッズを、となると
例えばノートはすごく作りやすいものですが、
そんなに柄違い・サイズ違いでノートばかり必要ないですよね?

なので、今回は何があるんだろうとワクワクしてもらえるよう
毎回何か新しいものを作ろうとします。
紙の印刷の知識はあっても、グッズへ印刷の経験は少ないからこれが大変で。。。

ということで初めて「テープ」を作ってみた時の話です。

思てたんと違う。。。

納品されて、箱を開けた瞬間、
「あかんやつや…」
立ち上るあかんオーラ。

薄いし、粘着力弱いし、濃い色に貼るとムラになって汚いし、
そして何より安っぽい。
大昔の百均を思い出すような品質です。

こんなの売れない、でも破棄するのももったいないし。。。
と悩んだ結果、とりあえず一旦イベントに出してみよう!
売れなかったらそれから考えよう!!ということに。

事前にSNSで
「どうしようもないテープを作ってしまった。挑戦者求む。」
とネタ的に投稿し、助けを求めました。
そして、イベント中はお客さんと話していることが多いので、
接客できなくても通りがかりの人が一目で何かわかるポップを作りました。
準備不足で時間がなく、思ったまま適当に特徴を添えて。

そしてイベントは始まった

いざイベントが始まると、久しぶりの猫イベントということで
大勢のお客さんが押しかけました。
入場するだけで2時間待ち。人気アトラクションか。
満員電車のような状態の中、わたしのブースでいちばん目を引いたのが
得意のノートではなく、自信満々に作ったバッグでもなく、
「あの」ポップでした。

「何コレ!どうにもならんてどういうことー!!笑」
なんと、商品ではなくポップが「つかみ」になり
多くの初めましてのお客さんが話しかけてくださったのです。

いかにどうにもならんか説明し、
「うっすいんですよ」とどんなに粘着が弱く、薄いかテープを触って体感してもらい、
「買わないほうが…」と忠告していました。
これでたくさんの方に笑っていただき、
また買うなと言われたらほしくなるみたいで買ってしまう人も現れました。
さらにSNSを見てくれていた人が
「どうにもならんテープまだありますか!?」と駆けつけてくれたり。
なんなんこのどうにもならん人気。

あれよあれよという間にどうにもならんテープは売れてゆき、
最後の1つだけが寂しく残っていました。
こんなに売れるのは想定外で、1つ残るくらいなら上出来、と思っていたら
「これください」と勇者登場。
まさかの完売。
最後に買ってくださった方は、
「ポップが気になりすぎて、3回見に来たんです。
そしたらラスト1個だからもう買うしかないと思って!」

デザインうんぬんではなく、
「どうにもならんうっすいテープ」という言葉が
たくさんの人の心に引っかかり、本来売れないはずのモノが売れる商品になったのです。
言葉ってすごい!と初めてコピーの威力を実感しました。

それ以来、「次のポップが楽しみです♪」と言われるようになり
新たなプレッシャーが生まれたのでした。