お久しぶりです。デザイナーの穂積です。1月に父が他界し、前後のバタバタで1回お休みいただきました。昨年末からのホスピスでの昼夜付き切りからの通夜葬式と、きつい日々でしたが、COVID19により面会等が制限された時期ならばまともなお別れが出来なかっただろうし、しっかりと看取れた事はいま思えば幸せな事だと思っています。

さて今回は広告コピーについて書きたいと思います。現在はまだ何かを作ろうという気分ではない方も多いとは思いますが、ここでしっかり心に留めていただいて、また世の中が以前のように活発に動き始めたらぜひ活用していただきたいと思います。しかしながら私自身はコピーライターではありませんので、コピーライティングの技術的な面ではなく、広告の中での機能について語る事になります。また、コピーの力である商品を大ヒットに導いたり、企業の好感度をアップしたりするプロフェッショナルなコピーライティングの話ではなく、いつもの様に自らが開催するイベント等のために自作で広告を作られる一般の方向けのものです。

まず思い出していただきたいのは、これまで幾度も書いてきた「長い文章は読まれない」という事です。一般の方が広告の文章(コピー)を書く場合、常に心に留めておいていただきたいことの第一はこれです。チラシやポスターに載せる文章を書く場合に最も大事なのは、簡潔にまとめるという事です。長い文章を載せるためには文字の大きさも小さくしなければなりませんので、細かな文字の並んだその文はさらに読み辛く、読まれなくなります。
以下の「コピーの種類」と題した、広告チラシのコピーの仕組みのひとつのサンプルをご覧ください。

(1)キャッチコピー(2)リードコピー(3)本文コピーの順で、文章は長くなります。広告を目にしたときに、ひとはそれが自分にとって読むべき価値のある情報かそうでないかを瞬時に判断します。それが瞬時に判断出来ない(理解できない)場合はその広告はスルー(無視)されるでしょう。よほど暇なひとならば、さらにその広告を読み込むかもしれません。でも日頃たくさんの情報に囲まれている現代では、ひとつの情報に割かれる時間はほんの一瞬です。ですから1、2、3の順に文章を長くしていくことによって、最初は簡潔に、興味ある人には読み進む事によって更に詳しい情報を与えるような仕組みが必要となります。

(1)キャッチコピー

以前アイキャッチの事に触れたことがありましたが、キャッチコピーとは、アイキャッチの文章版です。巷にあふれる多くの情報の中から、その情報に目を止めていただくキッカケとなる文章です。それは必ずしも大きなサイズである必要はありませんが、目立つ位置にあったり、他の構成要素とは独立していたり、とにかくその広告を見たときに一番最初に目に飛び込んでくる文章であることが大切です。より短くあることも大事な事です。一瞬で内容を読み取れる量=最長でも20文字以内に押さえておいた方が良いでしょう。短いコピーとは、たとえば特売品の「安い」、料理の「美味い」などが極端な例です。他には「楽しい」「辛い」とか。でもこれだけではちょっと漠然とし過ぎてますね。なら「辛旨!」とか「クセになる辛さ」とか。そうやってイベント内容にしっくり嵌る簡潔な文章を見つけ出すのがコピーライティングの始まりです。イベントの主催者にとっては全ての情報は必要不可欠に思えるかもしれません。でもお客さんがその広告に目を止めるのはほんの一瞬であることをお忘れなく。一瞬で理解でき、印象に残る文を考えるのです。

(2)リードコピー

本文コピーは、キャッチコピーによって目を止める事に成功したお客さんにイベントの詳しい内容を伝える比較的長い文章のパートです。しかしキャッチコピーで興味を惹かれたひとでもいきなり数百文字の長い文章をいきなり読まないといけないとなれば、中には脱落するひとも居るでしょう。リードコピーはそんな方をなるべく脱落させない為に本文コピーを要約した文章です。これはたとえば以下の文章が「イベントで決して行ってはならない禁止事項」を書いているのではなく「このイベントの内容はこんなに楽しいです」という事を書いている文章ですということを伝えます。リードコピーはキャッチコピーよりは具体的です。たとえば「7種類のケーキと淹れ立ての美味しい珈琲」のような文章です。この場合、本文では7種類のケーキの具体的な名前や、一杯一杯サイフォンで淹れる等の詳しく書かれた文章が続きます。

(3)本文コピー

もちろん雑誌や小説ではなく、これは広告なので本文も長過ぎないように簡潔にまとめることが必要です。それでもどうしても長くなってしまう場合には文章を数ブロックに分けて、それぞれに小見出しをつけるなどの工夫も必要です。

以上、ポイントは情報を大量に同列に掲載するのでは無く、魅力的なものから小出しにして、お客さんを退屈させないように工夫するという事です。最初はうまくいかないかもしれません。でも広告コピーの仕組みを理解してトライアンドエラーを繰り返すうちにきっと自分なりの成功パターンを掴めると思います。いまこの文章を書いている5月の時点の日本では、このコラムを読まれる皆さんもしばらくの間はイベントの開催を断念せざるを得ない状況だと思いますが、1年もしくは数年後に、そういえばこのコラムの頃は世界はそんな空気だったなと過去の一時期として思い返せる時がくる事を祈って、今回のコラムを終えたいと思います。