ホントに毎年言ってますが、気が付いたら半年終わってた。特に今年は改元とロングなゴルデンウイークも相まって移り変わりがめまぐるしかったですね。また個人的には、息子の高校受験から入学までの1~4月の記憶がぼんやりしています。

 

さてシリーズでお送りしています「チラシの作り方」も今回で7回目。このコラムはセンスや美意識などの感覚的な要素に頼らない極力数量化できる方向でチラシの作り方を記すことを目標にしてきました。

なぜなら一般の方々のデザインがうまくいっていないことの原因が、センスの有無というよりは守らないといけない基本的なデザインのルールをよく理解していないからだと思っているからです。さらに言えばプロフェッショナルのデザイナーにとっても大切なことの9割ぐらいはこのルールを守るということで、本人のセンスを試されるのは残りの1割かそれ以下の部分だと思っています。

 

前回は「ジャンプ率」と「余白」と題して、あるグループと別のグループとのサイズの差、タイトルとそれに続く本文のフォントのサイズを例に、差が大きなもの(ジャンプ率大)はインパクトがあり伝わりやすいけれども高級感には欠ける、逆に差が小さなもの(ジャンプ率小)は目立ちにくいけれども高級感があるという話をしました。また余白を調整することによって高級な雰囲気や親しみやすい雰囲気を作ることが出来ることも。このふたつの要素はどこかに正解があるわけではなくチラシで告知したい内容に合わせてコントロールすべきものです。

 

「行送り」と「行長」と「行間」

今回は「行送り」と「行長」です。行送りとは文字の下ラインと次の行の文字の下ラインとの間隔を指します。似た用語で「行間」というものがありますが、これは文字の下ラインと次の行の上ラインとの間隔を表します。混同しがちな言葉なのでご注意ください。行長は長い文章を配する時の一行の長さを指します。下にサンプルを載せましたのでぜひご覧ください。

 

行送りの適切なサイズ

大前提としてチラシにはあまり長い文章はふさわしくありませんが、イベントのくわしい説明などを長文で行う場合はストレスなく読んでもらうための工夫が必要です。そのために適切な行送りと行長が必要なのです。前回のジャンプ率と余白とは違い、今回は正解があります。まず行送りのサイズとして適当な値は文字サイズの1.5〜2.0倍と言われています。一行読み終わった後で次の行へ目線を移動させる時に行送りが小さいと次の行の頭を判別するのが難しく、逆に行送りが大きいと目線の移動距離が長く読むのが煩わしくなります。以下のサンプルをご覧ください。

 

 

行長の適切なサイズ

次に行長ですが、標準的な一行の文字数は15〜35文字だと言われています。横書きの場合、一行を読み終えた読者は次の行を読むために視線を左斜め下へ移動させますが、この束の間、人は読むという作業を小休止しています。これは水泳の息継ぎに例えることができます。一行が長い、つまり息継ぎの間隔が長ければ苦しい思いをするでしょうし、一行が短いと頻繁に息継ぎをすることになり十分なスピードを得られないでしょう。文章をストレスなく読んでもらうためには適度なリズムが必要なのです。一行の文字数が少ない場合は短い文章の間にあまりにも多く息継ぎが入るため、読点の多い文章のように読みづらくなってしまいます。またあまりにも一行の文字数が長い文章は行送りが大きい文章と同様一行を読み終えて次の行へ移る際の目線の移動距離が長くなりすぎるのです。

 

 

まとめ

以上、今回は「行送り」と「行長」のお話をしました。長い文章を心地よく読んでもらうためには文字を配置するリズムが大事だという事ですね。ただ行送り1.5〜2倍、一行15〜35文字というのはあくまでも基準の値であり、この次のステップでは自分自身で究極のリズムを発見するのも大切な事だと思います。それがその人独自のセンスというものに繋がります。

 

 

最近の梅雨は以前の梅雨とは違い、短い間に大量に降り各地に災害をもたらすようになってきました。私自身も以前より気象情報によく耳を傾けるようになり、折りたたみ傘をずっと持ち歩くようになりました。まさかと思うようなことが突然起こりますので、みなさまもくれぐれも過信なきようあやふやなこの季節をお過ごしください。では次回は残暑の季節にまたお会いしましょう。