こんにちは。
フォトグラファーの辻です。
今の巣篭もり状況の中、スマホに頼り切った生活をしておりましたが、
ふと、スマホに依存している生活に疑問を抱き『そうだ、本を読もう』ということで、
久しぶりに書店で本を購入。
本来なら仕事柄、カメラ雑誌や写真集コーナーに足が向くと思うのですが、
私の場合は学生時代に西洋美術史を専攻していたせいか、どうしても美術関係の書物に足が向かいます。
(かといって、なんの知識もありませんが、、、笑)
そこで気になる一冊を見つけ購入したのが、
『絵を見る技術』名画の構造を読み解く 秋田麻早子 著 朝日出版社
で、さっそく読み始め僅か数ページで、
私が普段写真を撮る上で気にかけていることと共感出来る言葉が!
今回は、この書物の冒頭の部分を引用させていただいたき、
写真を撮る上での技術の参考になればと思います。
絵を見るということには、
二種類の方法があります。
『一方は、感覚に頼る方法で、もう一方は知識に頼る方法。
「好きなように見る」と「知識を持って見る」の間にあるものは何でしょう。
それは、「観察」です。(秋田 2019 8-9)』
そもそも人は何かを見るとき、漠然と見てしまっています。
『見てはいるが観察していない』
ここで面白い実験結果が載っておりました。
2人に同じ絵画を見てもらいます。
アイトラッカーという装置で、美術教育を受けた人の目の動きと、
普通の学生の目の動きを比較します。
美術教育を受けた方は、
画面上下左右、端までまんべんなく見ています。
いっぽう普通の学生は、画面中央のメインになる部分に視線が引きつられ、
画面の両サイドにはほとんど目が向けられていません。
つまり、絵の見方を知っている人は、
目立つ箇所だけでなく、それと背景との関係性を意識して見ています。
一方、絵に馴染みのない方は、目につくところだけを注目しています。
これは、まさに写真を撮る上でも同じことです。
もう何年も前の話ですが。
ある方からこんな質問をされました。
プロのカメラマンと、アマチュアの違いは何か?
私が何と答えたかは忘れましたが、
その方は『構図』とおっしゃいました。
構図、これはカメラやライティングの技術ではなく、感性のものです。
では、もともとセンスが無ければプロになれないのか?
いいえ、そんなことはありません。
観察を繰り返し、訓練すればいいのです。
いい構図を作れる技術を取得すればいいのです。
その一つの方法が、観察なのです。
絵画のキャンパスとカメラフレームは同じです。
ファインダーを覗いた時、メインの被写体にばかり目がいって、いろんな物が写り込んでいませんか?
あるいは、写したかった部分が見切れていたり。
そんな写真も、ある意味面白く味わい深い写真ではありますが、作品と呼ぶには程遠いですね。
私もファインダーを覗く時は、しっかり観察します。
メインとなる被写体と同じくらい周辺を見ます。
私個人の表現ですが、ファインダーを覗きながら『違和感』がないか探します。
この違和感を見つけ、取り除くことが出来れば、いい写真へ一歩近づくと思います。
皆さんもファインダーをじっくり覗き、
違和感を見つけてみて下さい。
では、また次回に〜