4月も半ばを過ぎ、葉桜が目立つ時候になりましたが、今年の桜は例年より長く楽しめたようですね。以前は桜が咲くとブルーシートを広げて花見という春の過ごし方でしたが、最近は日課の朝1時間の散歩の折、路傍の桜を道すがらに眺める程度になりました。

ところで前回のコラムでお話ししました息子の高校受験ですが、無事志望の高校に合格することができ、胸をなで下ろしている所です。昨今私立ではWEBでの合格発表も多くなりましたが、公立は昔ながらの受験番号が書かれた看板に掛けられた目隠しの布を発表時間にぺらりと捲るという仕組みです。発表には私も立ち会ったのですが、おおよそ40年前の自分自身の高校受験の時の何倍もドキドキし、歓喜もしました。

 

さて「チラシの作り方」第6回目です。前回は「視線をコントロール」と題して、情報の重要度に併せて文字(情報)に大小強弱を付け、受け手の視線が動く順をコントロールするという旨の話をしました。

いきなり沢山の情報を均一に並べるのではなく、重要な情報から順々に伝わるように操作するわけです。以前にお話ししたとは思いますが、「長い文章は読まれない」という事実は、広告を作る人が常に心に留めておかなければならないことです。だから最初は印象的な極々短い文で受け手の興味を引き、徐々に伝える情報を広げていくステップを考えてデザインをしないといけません。

それを受けての今回のテーマは「ジャンプ率」と「余白」です。前回のお話を実践に活用するためにはこのふたつの要素も併せて考える必要があります。

「ジャンプ率」について

まず「ジャンプ率」です。一般の方にはこの言葉には耳馴染みのない方が多いと思います。ジャンプ率とはデザインの用語で、ある文字のグループ(要素)と別の文字のグループ(要素)との大きさの差を表す言葉です。この2つの文字のグループ、たとえばタイトル(見出し)と本文の文字の大きさの差を例にすれば最も伝わりやすいと思います。

以下の「ジャンプ率:高」と「ジャンプ率:低」の2つのサンプルをご覧ください。

一般的にジャンプ率の高いデザインはインパクトがあり、ジャンプ率の低いデザインは高級感があると言われています。

前回説明したように、よりよく伝えるためには1枚のチラシの中に大小強弱の変化が必要です。各項目の大きさに差を付けるだけでなく、1行の中にも内容に併せて大小の変化がある方が伝わりやすいというお話もしました。それが視線をコントロールするということですが、そういう意味では、それぞれの要素の大きさの差が大きい、ジャンプ率の高いデザインの方が伝わりやすいと言えます。

ただジャンプ率が高すぎると高級感を損なうため、告知する内容によっては極端になり過ぎない、適度なバランスの大小強弱の調整が必要となります。特に、広告に高級感が第一義に求められる場合は、ジャンプ率の極力低いデザインの中に、伝わりやすさも同時に要求されるわけで、高度な技術を要するデザインであると言えます。

「余白」について

続いて「余白」です。高級感を演出するには、用紙に占める情報の多寡も重要です。
以下の2つのサンプルをご覧ください。

用紙のサイズに対して情報の占める面積の少ない余白の多いデザインは、余白の少ないデザインより、高級な印象を与えます。

高級感を求められる広告の場合は紙面における情報の割合を極力抑えるために、情報を精査することが必要です。逆にスーパーの安売りチラシなどは、紙面に対する情報量を最大限に詰め込み余白を極小にすることで、安価なイメージをわざと演出しているわけです。

まとめ

広告物を伝えるべきターゲットのお客様の目に間違いなく止まるようにするには、その広告物を一瞥した時の印象はとても大切です。

高級、庶民的という2項に留まらず、その告知内容にふさわしい「ジャンプ率」や「余白」があります。それを意識してデザインを考えれば必ず以前よりステップアップした仕上がりが得られると思います。

 

今回のお話は以上です。間も無く10日間も続く超大型のゴールデンウイークですが、息子が高校生になってようやっと長期休暇にはどこかへ旅行にでも連れて行かねば、という呪縛から離れられたような気がします。
それでは。