消費税があがりましたね。僕自身は還元キャンペーンにのせられてキャッシュレス決済を行うことが頻繁になり、最近では自販機でジュースを買うとき以外はほとんど現金を使わなくなりました。多くのシステムが採用しているバーコードを介した決済にはあくまでも過渡的な手段に思えて違和感が否めませんし、災害でスマホが使えなくなったらどうするという不安感もありますが、これから世の中は」どんどんキャッシュレスになっていきそうです。

さて、今回から数回は「カラーチラシ」について考えてみましょう。ひと昔前は一色刷りやフルカラー(プロセスカラー)印刷の他にも二色刷りや三色刷り、銀や蛍光色などの特殊なインクを使った特色刷りなど様々な印刷技法を使ったチラシをよく見かけましたが、最近ではオンデマンドで安価なフルカラー印刷が可能になりましたので、フルカラー印刷が主流、一見二色刷りや三色刷りに見える印刷物も実はオンデマンドのフルカラー印刷というものも多いですね。

プロセスカラーというのはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の四色CMYKのインクを重ね合わせることによって全ての色を表現しています。虫眼鏡でフルカラーの印刷物を拡大してみるとよく分かりますが、この四色の細かな点が無数に並んでいます。パソコンやテレビのモニターをよく観察するとRGBの細かな点が並んでいますが、こちらも原理としては似たようなものです。モニターでは、R(赤)、G(緑)、B(青)の三色の重ね合わせで全ての色を表現します。RGBでの色の表現は「加法混色」と言ってR、G、Bそれぞれの色を足せば足すほど白色に近づきます。逆にCMYKは足せば足すほど黒色に近づき「減法混色」と呼ばれています。

モニターの場合はRGBの三色、印刷物の場合はCMYKの四色。一方は三で一方は四、これをおかしいなと思われる方もいるんではないでしょうか?実は原理的には印刷物もCMYの三色で全ての色が表現できるはずなのですが、現実的にはCMY全ての色を100%加えても黒色に近い濁った茶色にしかならないので、それを補うためにKの一色を加えているのです。

以前は印刷物を作るときに四色のインクを剃らないといけないプロセスカラー印刷は敷居が高かったのですが、オンデマンド印刷機の発達により安価で製作が出来るようになりました。オンデマンドの印刷機は、家庭にあるようなカラープリンターの高級版だと思っていただければちょうど良いと思います。同じCMYKのインクで様々な色を表現できる印刷と比べて昔ながらの一色刷りや二色刷りの印刷物の場合、インクは黒や白、赤などの基本的な色以外は数種のインクを混ぜ合わせてデザイナーの指示通りの色のインクを作るところからスタートします。そして一つの印刷物を作り終えると別のインクを使う次の印刷物のために印刷機を洗浄する必要もあるのです。だから現在では非常に手間のかかる(オンデマンド印刷と比べて)高価な印刷手段となってしまったんです。ですから、前述したように現在の二色刷りのチラシは実はプロセスカラーで印刷された二色刷り(風)のチラシが多いですね。ただCMYK四色のインクの細かな点の重ね合わせで再現された色は、インクを混ぜ合わせて作られた色に比べてシャープさに劣りますので、コストが許せばぜひきれいなインクを使った二色刷りや銀や蛍光色を使った特色刷りを試していただきたいと思います。

最後に、現在みなさんがカラーチラシを作るときパソコンを使ってモニターで色を確認しながら作っていると思いますが、前述したようにモニターはRGBの加法混色、チラシはCMYKの減法混色と、色の再現方法に大きな違いがあります。そのためモニターではきれいに見えていた色が印刷してみると全く違った色になってしまう場合も多いです。発光体であるモニターに比べてどうしても鮮やかさが失われてしまいます。プロはモニターを印刷用に調整したり、CMYKの掛け合わせの割合で紙の上にどんな色が再現されるのか経験上推測できるのですが、一般の方はそこまでは難しいと思いますので、いまモニターで見ている色と印刷物で再現された色は同じにはならないという理解で作られるのが良いと思います。

今回はちょっと専門的な話になりましたが、全ては理解できずともみなさんが普段目にされているカラーの印刷物の色がどのように作られているかを知っていることはぜったいに今後のチラシ制作の助けになると思います。それでは今回はこのあたりで。