NPO法人やさしいデザインのWebディレクターの宮嶋健人です。

 

とてもありがたいことに、

 「新規事業に必要なWebサイトやシステムやアプリを開発してほしい」

というご相談・ご依頼を月に1~2件いただいてます。

 

今回のコラムでは、ご相談をいただいた際に感じたことや

お伝えしていることについて書かせていただきます。

 

素晴らしいシステムを開発すれば自然に広まる?

 

「世の中の役に立つような素晴らしいアイデアを思いついたのでシステムを作りたい」

という熱い思いをお聞きすると、ぜひ応援したい、と思いますが、

どうやってそのシステムを知ってもらい、使ってもらうのかについても

併せてお聞きしたい(そこが抜け落ちている)、と思うことがあります。

 

「既にSNSで10万人以上のフォロワーがいて、私にはとても影響力がある」

という場合を除いて、良いシステムを作ったからといって、

インターネットや口コミで自然に広まることは、残念ながらほとんど期待できないと思います。

(日々、たくさんのシステムが世に出ては、誰にも知られることのないまま消えています。)

 

さまざまな類似サービスがある中で、困っている人にどうお届けするのかは、なかなか難問です。

そう思うと、顧客や売上の見込みが立たない状態で時間(数か月)やお金(何百万円)をかけるよりも、

まずは予算や制作期間を極力小さく(スモールスタート)していただき、

短期間でプロトタイプ(試作版)を用意して、どんどん人に説明したり応援してもらったりして、

一人ひとり、着実に広めていくほうが、目的達成にグッと近づきやすくなると思います。

 

プロトタイプで応援者・支援者を増やす(=大事な宣伝)

 

できるだけ短期間で最低限のプロトタイプを作るとなると、

極端な話、システムではなく、紙や人力対応で事足りるかもしれません。

それをもとに

 

今こういうことをやろうとしているのですが、困っている人はいませんか」

「最初のお客さんになってくれませんか」

 

と、お話していけば

 

「そういうことは、うちは、もうこのサービスで解決してるよ」

「それはお金を払ってでも今すぐにでも使いたい、早くやってくれ」

「無料ならやってもいいよ」

「知り合いの●●さんがこういうことで困ってたなあ」

などなど、これから作ろうとしているものが的外れなのかどうなのかもわかると思いますし、

お客さん候補や応援者・支援者の方とのつながりも生まれてくると思います。

こうした活動は、事業や自分を売り込む、広い意味での宣伝活動だと思います

 

「開発2割+宣伝8割」

 

そう思うと、不格好なところや至らないところ、人力対応・アナログ対応的なところがあってもよいので

まずは短時間(1週間~1か月以内)で実際にお客さんに体験してもらえるように、

100%のリソースのうちの20%くらいで開発を行っておいて、

残りの80%で上記のような宣伝活動を行い、

人力ではどうしようもなくなるくらいの手間がかかってしまう状態になるまでは

とにかく早くシンプルにオープンさせていくことが成功(=失敗を繰り返す)確率を高めると思います。

(システム化しないと手が回らないくらいになれば、地に足の着いた資金のめども立ってくると思います)

 

私自身、受託開発ではなく自社事業として、大小さまざまな新規事業のWebシステムを開発しましたが、

それが思ったよりも全然うまくいかなかった、という経験を何度もしてきました。

 

作っているときには

「これまでこの世になかった新しいサービスで、きっとすごいことになる」

と夢中で作っているのですが、作り上げるのに精一杯で、

作りあがったものを困っている人にお届けするところまで到達できないことがほとんどでした。

 

肝心なことは、お客様・ユーザーの方に使っていただき、

「このサービスは本当に助かる。お金を払ってでも使いたい」

と思っていただくことで、そのためには、

まずは少数の方でも良いので、お客様がお金を払ってでも解決したい困りごとを

実際に解決してみせるなど、お客様に協力していただいて巻き込んでいくことだと思います。

 

システムを作ることと同じかそれ以上に、

実際に困っている方やお客様や支援者の方のもとに開発前や開発中にも足繫く通い、

関係を作っていく活動(広い意味での宣伝活動)を、もっともっともっと、

たくさんのエネルギーをかけて行わなければならないと思います。

 

「良いサービス、便利なサービスだから自然に広まる」のではなくて、

「”あいつが一生懸命やってるから応援する” がじわじわと広がる」

というのが、新規事業がうまくいくときの現実なんじゃないかな、と思います。

 

開発せずに「人力対応×既存サービス」

 

繰り返しになりますが、

できるだけ短期間で最低限のプロトタイプを作るとなると、

極端な話、システムではなく、紙や人力対応で事足りるかもしれません。

 

そうなると、外部の業者に任せるのではなく、

できればご自身でサービスの第一弾を不格好でもよいので勉強して作ってみたり

ごく簡単なページを作っておいて、システムで自動入力ではなくメールなどで手作業で入力する、

など、まずは自分で人力対応でやってみる、というのはとてもありだと思います。

 

今は、ペライチJimdoWixなどのサービスを使えば

専門知識なしでそこそこのWebページを作ることができます。

商品やサービスであれば、BASESTORESで簡単にショッピングサイトを作れます。

申込フォームはGoogleフォーム、予約サイトはRESERVAなど、

既存サービスと人力対応を組み合わせれば、どんなサービスのプロトタイプも実現できてしまいそうです。

(ご参考:業界別11業種・カオスマップまとめ|SaaS、マーケティング、Web広告、チャットボット、ECなど

 

「素人が作ると見栄えが悪くて恥ずかしくてお客さんに見せられない」

という意見もあるかもしれませんが、業者に依頼する場合でも

「自分でここまで作ってみたけど、ここまでが限界だった」

というところまで考えたり行動に起こしたりしていれば

依頼される側も「ここまでは具体的になっている」と仕様策定の工数も減らせるでしょうし

何よりも「この人は本気だ」と、相談される側にも気合が入ります。

そのうえで、お気軽にご相談ください

 

上記のようなことも含めて、NPO法人やさしいデザインでは

「新規事業に必要なWebサイト・システム・アプリ開発を作ってほしい」

というご相談・ご依頼を承っております。お気軽にお問い合わせください。